ナフサについての考察(文系の私なりに)

昨今、ナフサ不足が話題となっています。

1、ナフサとは

まず採掘された原油は精製所で加熱、蒸留され、沸点の違いにより精製されます。ナフサの長期保管は、揮発性が高く劣化しやすい性質上、極めて困難です。

230度~425度 経油

160度~230度 灯油、飛行機燃料

105度~160度 ナフサ→石油化学製品

30度~105度 ガソリン

20度 プロパンガス(LPG)

ナフサをさらに熱分解することで下記の原料が生成され、利用されます。(出典:石油化学工業協会)

製品用途
ポリエチレンフィルム・包装材
ポリプロピレン自動車部品
PET樹脂ペットボトル
合成ゴムタイヤ
合成繊維衣料品

2、日本のナフサの調達構造(出典:内閣府)

国産:約4割

中東輸入:約4~5割

その他地域:約1~2割

国内の製造業

三井化学

主な拠点:大阪工場(高石) 市原工場(千葉)

ポリエチレン・ポリプロピレン分野で国内最大級です。

三菱ケミカル

主な拠点:茨城県神栖市 岡山県倉敷市

日本最大級の石油化学メーカーの一つです。

住友化学

主な拠点:愛媛県新居浜市 千葉県袖ケ浦市

石油化学から医薬品まで幅広く展開しています。

ENEOS

旧JX系。石油精製と石油化学を一体運営しています。

丸善石油化学

千葉コンビナートの中核企業。エチレンセンターを保有しています。

これに対し、

ガソリン・軽油・灯油は98%~99%が国内生産です。LPガスは25%ですが、これはLPガスが精製工程よりも採掘工程でより多く採れるためです。

ナフサが足りないのであればもっと石油を輸入し精製すればいいような気もしますが、すでにガソリンなどは需要を満たしています。そのためこれ以上の石油を輸入し、国内でナフサを生成することは合理性がありません。

3、ナフサの代替原料

①他の天然資源

LPG、エタン(LNG)、コンデンセート(超軽質原油)、④ 重質油・ガスオイル

②バイオナフサ(植物由来)、

廃食油、パーム残渣油、菜種油、バイオエタノール(サトウキビ・トウモロコシ)

③リサイクル

廃プラスチック油化油、

④二酸化炭素+水素

4、ナフサ不足の現状

6月以降、不足状況は解消されつつあるようです。現在、ユーザーである建設現場などにシンナーや塗料が行きわたらない理由は、元売りから卸販売される特約店や商社が大量の在庫を抱え込んでいることにあるようです。現時点では大手事業者を中心に不安心理はほぼ解消しており、今後は系列外の一人親方といった小規模事業者の不足感解消や、卸販売機能が弱い地域での販売強化が課題とのことです。(マスコミ出身中小企業診断士日景氏の考察を引用)

私独自の商社への現場ヒヤリングでも、顧客に対し、供給を行う義務感から、多めに仕入れて確保している状態のようです。これは売り惜しみなどではなく、事業者として当然の行動であると考えます。

5、事態終息後の対応

原油だけでなく、ナフサも中東からの輸入に頼らざるを得ない現状があり、今回の危機だけでなく、将来のナフサ不足を防ぐための対応が必要です。

①備蓄のパラダイムシフト:川上から川中へ(note今日のなぜなに整理帳をそのまま引用)

業界が採用しているのが「川上から川中へ」という備蓄のパラダイムシフトだ。(鈴木注:ということはすでに進んでいるようですね)ナフサ(液体原料)の在庫は2〜3週間分にとどまるが、これをポリエチレン・ポリプロピレン等の誘導品・中間製品(固体)の形で保有することで、2〜4ヶ月分の在庫水準を確保できる。固体製品は品質が安定しており、保管コストも大幅に低い。劣化リスクと保管コストが大きい不安定な液体原料をそのまま積み増すのではなく、すでに加工済みの固体製品として時間を稼ぐ発想への転換だ。
これは単なる在庫管理の工夫ではない。備蓄の起点を「原料」から「製品に近い段階」へ移すことで、物理的・経済的制約を回避しながら供給途絶リスクに対応するという、業界全体のレジリエンス戦略の核心をなしている。​​​​​​​​​​​​​​​​

②リサイクルの強化

 プラスチックリサイクル業者の知人より、バージンプラスチック原料の値上がりにより、再生プラスチックなどが価格面で追いつき、売れるようになってきたとのコメントを得ています。リサイクルの動きを強めるためにもバージンプラスチックの価格の高止まりが必要です。ナフサ供給不安が減退し、価格が低下したのちにリサイクルの動きが止まってしまうのではまた将来のナフサ供給不安の火種を残すこととなります。リサイクル可能な材料については課税を行うことで高価格を維持し、価格上昇時には課税幅を縮小することで価格調整を行える体制を整えることが必要と考えます。環境保護の面だけでなく、エネルギー調達力の弱い我が国として国益にかなう政策です。

参考サイト
https://webcil.jp/archives/3099?utm_source=chatgpt.com